photo サンゴの丘 すすり泣き
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「地球温暖化」。この言葉を聞かない日はない。
 1980年代のオーストラリア・グレートバリアリーフは、足の踏み場もないほど元気なサンゴに埋め尽くされていたが、2度程度の海水温の上昇が、世界最大のサンゴ礁に甚大な被害を与えた。その被害は世界中に広がっている。
 小中学校、高校で環境特別授業を担当している私は、たった1、2度の温度差が、どれだけ大変なことになるかを子どもや生徒たちに伝えている。「人間の体温が2度上がったら病気になる。それが1年以上も続いたらサンゴだって死んでしまう」という説明に、子どもたちは聞き入る。
 何千年、何万年という時間をかけて成長したサンゴ礁の写真に歓声が上がる。しかし、「この写真は過去のもので、今は無くなってしまった」と告げると、子どもたちから笑顔が消え、真剣な表情に変わった。