photo クラゲ 毒の触手に安らぐ
-
 南国らしい派手な色。直径約30センチもある大きなクラゲが、フィジー・タベウニ島の大海原で、ゆらゆらと波に身を任せていた。
 「危ないぞ、注意しろ」と、船から声がする。フワフワと長い糸のような触手に触れると、毒液が飛び出してくる。
 無気力で何もしないように見えるこの生き物を、海に近づく人間は怖がり、すっかり嫌われものになってしまった。
 しかし、小魚たちにとって、クラゲは絶好の住み家なのだ。写真左下で、泡のように光って見えるのは、アジ科の幼魚。クラゲとともに触手の間を泳ぎながら成長していく。幼魚にとっては、他の魚にも狙われることのない、安全な場所といえる。
 水中撮影で幾度となく痛い目に遭わされているが、姿を見かけるとついつい近づいてしまう。「水の母」である。