photo オホーツクに潜る きしみ響く氷の魔境
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 北海道のオホーツク海沿岸は、見渡す限り海面が流氷で覆われる。
 中国とロシアを流れる大河アムール川からオホーツク海に注ぐ淡水が結氷し、南下するにつれて徐々に大きく成長しながら知床半島にやってくる。氷の世界に潜行した。
 チェーンソーで氷に1メートル四方の穴を開ける。流氷の下の水温はマイナス1〜2度。外気温はマイナス20度。海中の方が暖かい。頭上は氷で覆い尽くされ、行きも帰りも出口は1か所だけという特殊なダイビングだ。
 巨大に成長した氷と氷がぶつかり、きしむ音が響いてくる。まるでうなり声のようだ。15分もすると、シャッターを押す指が冷たさでしびれてくる。そのうち、完全に手の感覚はなくなり、体も凍り付く。
 もう限界だ。命綱を頼りに氷の魔境から脱出した。